ステレオタイプに惑わされず、多様な〈日本〉をみつけよう
「日本文化の特徴は?」と尋ねられて、みなさんは何を挙げるでしょうか。たとえば、日本語の特徴としてよく「敬語」が取り上げられますが、「敬語(けいご)」という言葉はどうも明治以前には存在しないようです。また中学生が教わるように、敬語を「尊敬・謙譲・丁寧」といった視点からはじめて記述したのは、外国人でした。それだけではありません。方言の分布を見ると、敬語の発達した地域と、尊敬や丁寧の表現形式が未発達のいわゆる「無敬語」の地域が日本には存在します。「敬語」という日本(語)らしい現象一つをとっても、日本国内には多様性が存在しますし、「敬語」を自覚するには外からの眼も必要だったことになります。本コースでは、日本の歴史と文化を、文学、思想、芸術などのさまざまな対象を取り上げながら、内からの視線と外からの視線を交差させながら考えます。皆さんもまったく新しい〈日本〉の姿を再発見してみませんか。
日本思想
本学非常勤講師の白井雅人先生による講義でした。
この日のテーマは、中国の思想家、王陽明の思想について。心の働き、とりわけ自然と湧き出る良心の働きを探究する王陽明は、正しい心を持つには自分の心の働きを知り、いつでも良心が働くようにするべきだと考えます。良心は人を差別することがなく、すべての生きとし生けるものを助けたいと思うものだといいます。それが万物一体の念です。しかし人間にもともとあった良心が利己心や物欲によって働かなくなってしまったため、王陽明は万物一体の念を取り戻そうと考えます。
陽明学は朱子学と違い政治的影響力を持つことはありませんでしたが、市民の心の教育には役立ったといいます。現代を生きる私たちにとっても学びとなる思想を知ることができました。
この日のテーマは、中国の思想家、王陽明の思想について。心の働き、とりわけ自然と湧き出る良心の働きを探究する王陽明は、正しい心を持つには自分の心の働きを知り、いつでも良心が働くようにするべきだと考えます。良心は人を差別することがなく、すべての生きとし生けるものを助けたいと思うものだといいます。それが万物一体の念です。しかし人間にもともとあった良心が利己心や物欲によって働かなくなってしまったため、王陽明は万物一体の念を取り戻そうと考えます。
陽明学は朱子学と違い政治的影響力を持つことはありませんでしたが、市民の心の教育には役立ったといいます。現代を生きる私たちにとっても学びとなる思想を知ることができました。
日独関係と近代日本
文学部のラインハルト・ツェルナー先生による講義でした。
ドイツ皇帝ウィルヘルム2世が描かせた『ヨーロッパの諸国民よ、汝らの最も神聖な宝を守れ』と題された絵画に着目しながら、第1次世界大戦前の日独関係を紐解いていきました。
日本の東アジア拡大を不安視したウィルヘルム2世は黄禍論を唱え、ドイツ主導のもとヨーロッパ諸国が団結して東洋の敵と戦うようにと主張するため、この絵画を制作しました。
メディアによって繰り返し取り上げられたこの絵画の模倣や風刺、パロディ作品、そしてメディアが様々な形で表現した黄禍論のプロパガンダを見ていきながら、西洋の大衆に印象づけられた黄色人種の脅威について学びました。
ドイツ皇帝ウィルヘルム2世が描かせた『ヨーロッパの諸国民よ、汝らの最も神聖な宝を守れ』と題された絵画に着目しながら、第1次世界大戦前の日独関係を紐解いていきました。
日本の東アジア拡大を不安視したウィルヘルム2世は黄禍論を唱え、ドイツ主導のもとヨーロッパ諸国が団結して東洋の敵と戦うようにと主張するため、この絵画を制作しました。
メディアによって繰り返し取り上げられたこの絵画の模倣や風刺、パロディ作品、そしてメディアが様々な形で表現した黄禍論のプロパガンダを見ていきながら、西洋の大衆に印象づけられた黄色人種の脅威について学びました。
多様性の日本民俗文化
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館の研究部教授松尾恒一先生による講義です。
民間に伝承されている風俗や習慣が、歴史や自然、社会と深く関わっていることを、様々な例を通して見ていきました。
民俗文化の代表格ともいえる祭りについては、日本の新嘗祭(宮中で行われる稲の収穫祭)をはじめ、バリ島のケチャ、スイスのレッチェンタールの仮面謝肉祭の様子を映像で確認しました。
日本の民俗文化の形成には、仏教、キリスト教の伝来が大きく関与しています。
仏教の布教者であった琵琶法師が『平家物語』を語るようになった経緯(盲目の彼らが捨てられた鴨川の河原は、平家の残党の処刑場だった)や、隠れキリシタンの葬式方法(お坊さんにあげさせた経を取り消す呪文を唱えたあとで、本当の――キリスト教式の――葬儀を行う)等、両宗教にまつわる興味深いお話の数々を伺うことができました。
民間に伝承されている風俗や習慣が、歴史や自然、社会と深く関わっていることを、様々な例を通して見ていきました。
民俗文化の代表格ともいえる祭りについては、日本の新嘗祭(宮中で行われる稲の収穫祭)をはじめ、バリ島のケチャ、スイスのレッチェンタールの仮面謝肉祭の様子を映像で確認しました。
日本の民俗文化の形成には、仏教、キリスト教の伝来が大きく関与しています。
仏教の布教者であった琵琶法師が『平家物語』を語るようになった経緯(盲目の彼らが捨てられた鴨川の河原は、平家の残党の処刑場だった)や、隠れキリシタンの葬式方法(お坊さんにあげさせた経を取り消す呪文を唱えたあとで、本当の――キリスト教式の――葬儀を行う)等、両宗教にまつわる興味深いお話の数々を伺うことができました。
ヨーロッパとNIPPON
ジャパノロジー概論
「ジャパノロジー(直訳:日本学)概論」では、<日本>を内と外の両方から見つめ、「クール・ジャパン」に代表されるステレオタイプのイメージでは捉えきれない多様性をもった<日本>の発見を目指します。