オープン・キャンパスの教員相談コーナーで、高校生数名の方から、「英語学とは何か? Language Studiesコースでは何を学ぶのか?」というご質問を受けました。実際にLanguage Studiesコースに所属している4年次生の学生さんにお願いし、授業でどのようなことを学んでいるのか回答していただきました。
2022年度入学 R.K.さん
英語学とは、英語という一つの言語を多角的かつ体系的に研究する学問だと考えます。
「LANGUAGE STUDIES SEMINAR」 の授業では、英語という言語の仕組みを理論的に理解し、その構造的特性を明らかにしていきます。具体的には、言葉を話すとき、どのように音が作られ、どのように音が作られ、どのように伝わり、どのように聞こえるのかを明らかにする音声学(Phonetics)、単語がどのような要素(語根・接辞など)から構成されるのか学ぶ形態論(Morphology)、発話者の意図や社会的関係を基に英語がどのように使われるのか学習する語用論(Pragmatics)など英語学を体系的に学習します。それらの内容を少人数クラスの中で、生徒同士が研究書を輪読することで、主体的な学習を行います。また、研究疑問をクラスで議論をしながら学びを深めていきます。
さらに、歴史的な側面から英語を理解することで、過去から現在までどのように英語が変化してきたのかを学習し、英語の本質を理解します。「HISTORY OF ENGLISH LANGUAGE」 の授業では、英語がどのように成立し、発展してきたのかを歴史的視点から学習します。具体的には、5世紀頃の古英語(Old English)から12世紀頃の中英語(Middle English)、そして16世紀以降の近代英語(Modern English)へと至る過程を、語彙・音声・文法・意味などの変化を軸にたどります。その過程においては、他の言語との接触や社会的・文化的背景の影響を踏まえて理解します。特に興味深い点は、これらの学問的知見を通じて、これまで言語学習として学んだ英語を歴史的に、理論的に理解できるようになることです。例えば、「なぜ綴り字と発音の間に乖離が生じているのか。」、「なぜ三人称単数の語尾変化や動詞の不規則変化が存在するのか。」といった疑問を歴史的・言語学的観点から説明することができるようになります。このように、英語の本質的な姿を歴史的に遡り、その構造的特徴や本質を明らかにしていくことこそが英語学の醍醐味だと考えます。
また、現代の英語を学習することで身近な生活での英語の変化を学習します。「SPECIAL TOPICS IN LANGUAGE STUDIES IN ENGLISH」 では、「現代の英語」を学習します。英語に限らず、言語は時代や社会の変化に応じて絶えず変化しており、社会的要因を背景にその変化に焦点を当てることで、現代社会で実際に使われている英語を学ぶことができます。具体的には、SNSやメディアを通して広まる新しい語彙やスラング、略語、文体などがどのような特徴を持ち、どのように変化しているのかを学問的に考察します。これにより、英語が単なる規範的な言語体系としてではなく、社会や文化と密接に結びつきながら常に変化し続ける「生きた言語」であることを理解します。このような学びを通して、言語の変化を否定的に捉えるのではなく、むしろ言語の柔軟性と社会的多様性の表れとして捉える視点を養うことが点に大きな意義があると考えます。
上智大学英語教育学教職課程では、英語教授法についての理論を学習し、実践形式で英語教授力を養います。英語教育理論については、「PRINCIPLES OF ENGLISH LANGUAGE TEACHING」の授業を通して、英語教育の歴史的背景及び変遷を学びます。過去から現在に至る英語教育の変遷を社会的変化と関連付けて考察し、現代の英語教育の在り方を理解します。また、学習指導要領を分析し、現代社会が求める教育の目的や背景、そして将来に向けた英語教育の方向性について考察します。さらに、「第二言語習得論」の授業では、人間の言語獲得理論や言語学習方法に関する研究を学び、様々な研究者の理論的枠組みを通して、効果的な言語習得について探求をします。
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また、「英語学習評価論」では、授業設計に欠かせない評価の理論と方法を学び、学習者の理解度や達成度を適切に測定する方法を学習します。具体的には、テストやルーブリックなどの具体的な評価手法を通して、効果的な評価の在り方を考察します。以上のこれらの理論を基盤として、英語授業設計の土台を養います。
実践面では、「 PRACTICE IN ENGLISH LANGUAGE TEACHING」の授業を通して、実際に授業を行うことで英語教授力を養います。具体的には、授業設計や教材、評価方法、指導案などを学生自身が一貫して行い、実際の生徒を想定した模擬授業を実施します。模擬授業後は、学生同士でフィードバック行い、主体的に学び合うことで教授力を磨きます。授業を一から設計する過程には多くの試行錯誤や困難もありますが、学生同士で協働してより良い教育法を模索し改善を繰り返していく事で、成長と達成感を得ることができます。また、中学校や高等学校で指導経験を持つ現職教員や、英語教育を専門とする教授から質の高い指導を受けることで、教育現場で実践できる教授力を養うことができます。さらに、外国から英語研究者の教授を日本に招き、最先端の英語教授法について学ぶ機会もありました。CLIL(Content and Language Integrated Learning :内容統合型教授法)という英語教授法について実際に英語で授業を受けながら学びました。他教科の内容と統合して学ぶことで、言語運用能力だけでなく、思考力や理解力、協働し主体的に学ぶ力を同時に伸ばすことができるこの教授法の有効性を体感しました。この経験を通して、英語教育を単なる言語学習ではなく、他分野の学びや社会問題に活用できる実践的な学びとして教える事の重要性を強く感じました。
私は、これらの上智大学での理論的学びと実践経験を基に、母校の高等学校で教育実習を3週間実施しました。実際の生徒を前に授業を通して、大学で学んだ教授法や授業設計の知識を実際の教育現場で活かすことができました。そこでの経験は、大学で培った知識と実践力があったからこそ成し得た非常に貴重なものでした。さらに、英語教育にとどまらず、生徒との関わりや学校運営にも参加し、教師という職業の幅広さを実感しました。職員会議やHR、行事の準備を通して、教師が授業以外にも多くの業務を担い学校全体を支えていることを実感しました。こうした経験から、英語を教えるだけでなく、生徒の成長を支える教育的観点の重要性を学びました。
このように、上智大学英語教職課程では、優れた教授陣の指導のもと、理論から実践まで幅広く英語教育について学び、主体的かつ実践的に英語教授力を培う事できます。教職課程で出会った友達とは、多くの時間を共に過ごし、英語教育に関する授業や課題に取り組む中で互いに刺激を与えながら学びを深めることができました。また、共に支え合い、協働しながら努力した仲間の存在が大きな励みとなり、最後まで諦めず学び続けることができました。こうした最良の環境で学べた事に心から感謝しています。
卒業論文では英語教育での知見を活かし、明示的学習方法と暗示的学習法の個人差に着目した研究を行っています。明示的学習法とは、文法や語彙などのルールを教師が明確に説明して学ぶ方法であり、暗示的学習法とは、会話や文脈の中で意図せず自然に言語を身につけていく学習方法を指します。「第二言語学習論」で学んだ言語学習理論を基に、学習者の特性や学習スタイルがどのように学習成果に影響するかを分析しています。この研究を通して、学習者の特性や学び方に応じた「個別最適な学び」の実現を目指し、英語教育における新たな知見の発展に努めています。
また、夏休みの期間を利用して英国に留学し、大学での学びを現地での体験を通してさらに深めました。具体的には、授業で学習した英語の歴史を基に、実際にイギリス各地を訪れ、英語の発展の背景を自分の目で探りました。例えば、英国の地名に残る語源や言語変化の痕跡を観察することや、シェイクスピアの戯曲がまとめられた初版本などの刊行物を実際に見学しました。さらに、現地大学での週5日間の授業に取り組み、英語力を磨くと同時に、世界各国からの留学生と積極に交流を行いました。異なる文化や教育観を持つ学生との意見交流を通して、異なる視点から物事を考える力が養われました。私は留学学生リーダーを務め、上智大学の学生が現地での英国留学生活を円滑に送れるようにサポートをしました。具体的には、グローバル教育センターと提携し緊急時の対応や普段の生活の注意点を教示していただき、安心して過ごせる環境づくりを行いました。このように、上智大学では留学が初めての学生でも、さまざまな支援体制のもとで安心して生活し、充実した学びを得ることができます。 最後に、上智大学では充実した奨学金とさまざまな学習の機会を提供しています。授業料では「上智大学修学支援金」、留学の際には「叡智が世界を繋ぐ奨学金」を活用させていただき、多くの貴重な学びの機会を得ることができました。経済的な制約がありながらも、充実した奨学金制度を活用することで、学びや挑戦の幅を大きく広げ成長することができます。
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