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2011.08.26

交換留学体験記(韓国)

 伊豆倉まなみ

 留学先: 延世大学 (Yonsei University)
 留学期間: 2010年2月~2011年1月

1.留学の動機
 大学3年(2008年)の夏休みに、上智大学の「夏季休暇  短期語学プログラム」に参加し、韓国カトリック大学へ3週間の語学留学を経験しました。その際、ソウルの地下鉄のある駅で、ある見知らぬ男性に「独島(竹島)は韓国の領土である」といった主張を投げかけられました。
 韓国に好意的なイメージを作り上げ、気軽な気持ちで韓国を訪れていた私は、韓国人が日本に対して持っている感情が、想像と大きくかけ離れていることに衝撃を受け、価値観の異なる人同士がお互いを受け入れる難しさを実感しました。同時に、韓国から見た日韓関係史を学ぶことで、なぜ彼らがそうした考えを持つのかを知りたいと考えるようになりました。それまで、周囲の雰囲気に流されるままに就職活動をしていましたが、「自分が本当にやりたいこと」を見つめ直し、1年間留学する意思を固めました。
 私が留学を決意したのは、大学3年次の12月でした。言語圏ごとに交換留学の申し込み期間は異なるのですが、韓国の場合は留学する前年5月に交換留学の願書受付があります。そのため、私は2009年3月に渡韓をするための申し込みには間に合わず、2009年の5月に留学願書を提出、2010年3月渡韓するという形を取ることになりました。
 また、私の所属する史学科は卒業論文が必修科目であり、その提出日は毎年12月に設けられています。留学中の2010年12月には、上智大学に卒業論文を提出することができないため、結果的に卒業は2年遅れることになりました。

2.留学の準備(visaや現地の宿舎、言語に関する資格についてなど)
 2009年の5月に、上智大学における成績証明書や語学能力の証明書類など、交換留学に関する書類を大学に提出し、申し込みを済ませました。そして、6月に上智大学の学内選考の面接を受け、7月下旬に学内選考通過の連絡を頂きました。その後、9月に現地大学から受け入れ許可が下り、10月に留学に関する書類が送られてきました。
 ビザ申請についてですが、申請には受け入れ先の大学が発行する入学許可証、申請書類、ビザ用の写真が必要です。大韓民国大使館は月曜~金曜の午前中にのみビザの申請受付が、月曜~金曜の午後にのみビザの受取りが可能でした。大使館ごとに申請、受取りの日程と時間帯は異なると思うので、それぞれ留学する国の大使館にしっかり確認してみることが大切です。韓国の場合は、ビザの申請から発行までは1週間くらいかかりました。ビザ発行までの日数も、国によって異なり、更に時間がかかる国もあるようです。
 現地での宿舎は、世界各地からやってくる留学生と交流したいと考え、留学先の大学内にある留学生専用の寮に決めました。申し込みはオンラインで10月に行い、2010年1月に入金を済ませました。渡航後に他の留学生に宿舎について尋ねてみたところ、食事つきの下宿やホームステイを利用する留学生も多くいました。現地で半年経った後に、下宿に移ろうかとも考えましたが、引っ越しの手間や衛生面、治安を考慮し、大学内の国際寮に帰国までお世話になりました。
 交換留学に申し込みをする際に、言語のレベルに関する書類を提出する必要があるのですが、私は上智大学で韓国語を教えていらっしゃる先生に頼んで、推薦書を書いていただきました。TOEICやTOEFL、その他言語圏ごとの検定試験の証明書が必要な場合もあるようです。留学先の延世大学は韓国語能力試験4級以上が求められたので、留学前の2009年12月に受験し、語学力証明書類を持って、渡航しました。
  また、現地の大学から送られてくるメールや関係書類はすべて英語で書かれていました。例え、英語圏に留学するのではないにしても、ある程度英語力は求められます。実際に、現地で行われたオリエンテーションや留学生同士のコミュニケーションは、ほとんどが英語でした。韓国語だけではなく、英語に対してもしっかりと勉強を行っていればよかった、と感じています。

3.留学中の体験
 大学では、春学期に外国人留学生のための韓国語プログラム(中級)、韓国語の文章作成法、日本語の言語文化の理解を、秋学期には春学期と同様、韓国語プログラム(上級)に加え、韓国世界文化遺産の理解、韓国の伝統文化の理解、テニスという授業を履修しました。韓国語プログラムは午後からだったので、午前中に大学での授業を履修していました。日本の大学とは異なり、韓国ではほとんどの授業に中間テスト、レポート提出、プレゼンテーション、期末テストが課されます。加えて毎回の授業で宿題が出されることも多かったので、日々課題に追われていました。
 留学中は、大学での授業はもちろんですが、ボランティアなどの活動にも進んで参加しました。それは、語学面でハンディがある自分でも、日本人であることを生かしながら、社会と積極的に関わりたいと考えたからです。
 春学期には、留学先の大学から斡旋を受け、現地の老人福祉施設で日本語を教えるボランティアを行いました。3か月の間、週1回授業を行うプログラムで、私は初級のクラスを担当しました。様々な世代の韓国人の方と触れ合う機会を設けることができたと同時に、授業はすべて韓国語で行っていたため、韓国語の力を伸ばす良いきっかけになりました。
 授業の最終日には、浴衣や折り紙などの日本文化も紹介しました。また、夏休み中は、韓国の情報サイトを通じて、サッカーワールドカップの応援イベントのスタッフを経験しました。
 秋学期には、現地で知り合った友人の紹介で、ソウル市主催の青少年育成サミットでの、通訳のインターンシップに挑戦しました。世界規模の経験を積むことができたと同時に、サミットを運営したNPO法人の関係者の方々やサミットにゲストとして参加された方々、スタッフとして共に活動した他大学の学生など、交友関係を広げることができました。
 振り返ってみると、渡航前に韓国で経験したいと考えていたことを、1年間の留学ですべてやり遂げることができました。常に情報を得られるよう自らのアンテナを張り、新しいことにも物おじせずに、挑戦していくことの大切さを、留学を通じて学びました。また、人と人のつながりの重みを感じ、自分自身の人間性の成長につながったと思います。

4.帰国後(就職活動について)
 就職活動は、留学の帰国手続きがひと段落した2011年2月からスタートさせました。2月から各企業にエントリーし、会社説明会に足を運びながら、筆記試験対策、OB・OG訪問、エントリーシート対策を進めました。3月に入ってからは、エントリーシー トを1日に数社分だし、合間に練習として選考が早い企業の面接を受けていました。東日本大震災の影響もあり、各社の選考スケジュールが従来通りいかないなか、大学のキャリアセンターの方に相談にのっていただき、またすでに社会人になっている友人と会う機会を頻繁に設けることで、モチベーションを維持し続けました。結果的に4月の下旬に、現在の内定先から内定をいただくことができました。その後も、この機会に様々な企業を見たいと考え、7月上旬まで就職活動を続けていました。留学生の就職活動については、上智大学のキャリアセンターに先輩方の経験談が書かれているので、留学前後を通して利用することをお勧めします。
 2年間卒業を延ばして、留学したのですが、就職活動には全くと言っていいほど影響はありませんでした。それまでは、逆に留学によって、就職活動が不利に働くのではないかと心配していました。しかし、他の学生と異なる経歴を持っていたためか、面接官の方もなぜ留学したのか、留学から何を学んだのかをじっくりと聞いてくださいました。私自身、人には負けない強みが自分にはあるのだと自信を持って、活動できまし
た。

 日本では、人と違う道を選ぶと、集団から浮いてしまいがちです。私も留学を決意してから、一般的な日本人大学生が歩むコースを外れてしまったことに、少なからず不安を覚えました。しかし、留学を通して多種多様な人々の価値観に触れ、日本での標準が世界の標準ではないことを知りました。それと共に、ある人にとってはベストな人生が、別の人にとってもベストであるとは限らないのだと考えるようになりました。私は、人生とは自分の手でいくらでも面白く、楽しいものにしていけるのだと思います。私の体験が、ブログを読んでくださっている皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。


「韓国世界遺産の理解」という授業における江華島でのフィールドスタディー