メッセージ
八世紀初頭の東アジアにおける文字表現について研究しています。具体的には『日本書紀』や『古事記』等を読んでいます。固有の文字を持たないなかで日本の神話や歴史を文字記載するにあたっては、漢語漢文に不慣れな日本人が漢字を用いて文字記載することの難しさに、あるいは和語和文に不慣れな渡来人が漢語漢文で日本のことを記述することの難しさに、それぞれ直面していたはずです。手本とした漢籍や仏典のみならず、百済や新羅の木簡や金石文とも比較しながら、どのような影響のもとに当時の文字表現が成り立っているのか明らかにしたいと考えています。
いわゆる「日本文化」とは何でしょうか。海外の文化と比べる方法もありますが、古典文学を通じて過去と現在を比較すれば、同じ日本の中でも時代や地域や人によって価値観が異なることに気付きます。一つの文献であっても多様な文化的背景のもとに成り立ち、同じ文献であっても時代に応じて異なる解釈が与えられることを、具体的かつ切実に教えてくれるものが古典文学です。多様で広大な古典文学の海を見渡して、自文化や異文化の「癖」や「変」を一緒に発見しましょう。