この度、3月に卒業された元中川ゼミ所属の宮永陽海さんがフェニキア・カルタゴ研究会にて卒業論文の発表をされました。
貴重な研究成果発表の場に参加された宮永さんに、その体験記を書いていただきました。学部生の皆さんや、これから入学を考えている皆さんはぜひ参考にしていただければと思います。
以下にその体験記を掲載いたします。
こんにちは、2023 年度史学科卒業生の宮永陽海です。今回、3 月に開催されたフェニキア・カルタゴ研究会での参加経験についてお話させていただきます。
私自身、西洋古代史ゼミに所属し、カルタゴの交易活動をテーマに卒業論文を書いていました。具体的には「古代地中海世界におけるカルタゴの交易活動-魚醤と条約に目を向けて」という題で、魚醤の取引と条約に注目して最盛期のカルタゴが古代地中海世界に及ぼした影響を考察するといった内容でした。そのような中でご縁があり、フェニキア・カルタゴ研究会の第9 回公開報告会(2024 年3 月3 日、日本女子大学)で卒業論文の内容を発表させていただけることになりました。公開報告会では、他大学の二人の方と一緒に卒業論文を発表させていただきました(対面・オンライン併用のハイブリッド開催で、私はオンラインで参加しました)。発表当日は、フェニキア・カルタゴに精通している先生方や関心を持って報告会に参加している方々の中での発表だったので、口頭試問の時とは違った緊張感がありました。

質疑応答時には、「なぜフェニキア・カルタゴを卒業論文のテーマに選んだのか」という質問を頂きました。高校までの世界史の中でフェニキア・カルタゴに関する学習が不足しているのではないかという課題が挙がっている中で、ポイントをついていた質問でした。今回発表の場を頂けたのも、従来よりもカルタゴを卒業論文のテーマに選んだ人が珍しく多くいたからとのことでした。ギリシアやローマと比べて、フェニキア・カルタゴをテーマとして取り上げる人が多くないのが現状のようです。私自身は、高校の授業でポエニ戦争でのハンニバルのカッコよさからカルタゴに関心を持ち、栗田伸子先生と佐藤育子先生が書かれた『通商国家カルタゴ』(講談社、2016 年)を読んだことが大きなきっかけでした。そこから、古代地中海世界にはローマの他にもカルタゴという大きな勢力が存在していながら、ローマほど大々的に注目されていないことに疑問を抱き、卒業論文で取り扱うに至りました。正直、高校2 年生の時に抱いた疑問が後の大学の卒業論文へ繋がるとは私自身も思っていませんでした。自分なりに疑問を持ったことに対して、新たな視点を交えながら追究していくことがを卒業論文のテーマを模索していく中での一つの方法なのかもしれません。また、発表に対して「魚醤に注目した部分がありそうでなかった視点」といった旨のコメントを頂きました。この「ありそうでなかった視点」というラインこそ、 卒業論文を書いている中で意識していた部分でした。そのためこのようなコメントを頂いたことで、自分の中での一つの目標を達成できたのではないかと実感しました。
史学科で学んでいく中で卒業論文は、4 年間の集大成といえると思います。そのため、このような貴重な場での発表を通して、4 年間自分なりに学習することができていたという自信を持つことができました。このような自信を持てたという点からも、今回発表の機会をいただけたことに非常に感謝しています。
今回、お声をかけてくださった佐藤育子先生と直接的に知り合ったきっかけは、「フェニキア人と古代地中海世界を旅するー神話・文字・歴史ー」 という講演会への参加でした(2023年5月6日、古代オリエント博物館)。小さなきっかけが予想もしなかった事柄につながることもあります。そのため、気になる講演会などには積極的に参加してみて欲しいです。
以上、参加させていただいたフェニキア・カルタゴ研究会の第99回公開報告会のお話でした。卒業論文を書いていく中で、このような機会をいただけることもあるというケースの参考になれば幸いです。