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2023.01.30

「原書講読演習」(西洋中世史プレゼミ)で「羊皮紙ワークショップ」を開催しました

史学科の山本(西洋中世史)です。こんにちは。

今回は私が担当しております「原書講読演習」で実施した「羊皮紙ワークショップ」についてお伝えします。

この授業は史学科の2年生を対象としたものであり、西洋中世史で卒業論文を書くために必要な様々な技術を学んでいます。中心となるのは英語で書かれた学術的な文章の読解力を養うことであり、今年度はクリュニー修道院に関する最新の入門書(※)を読みました。

※ S. G. Bruce and S. Vanderputten (eds.), A Companion to the Abbay of Cluny in the Middle Ages (Brill, 2021)

西洋中世史においては、卒業論文の段階で原史料(写本)や刊行・翻訳史料を直接あつかう必要はありません。しかしながら、専門の研究書は、もちろん史料の分析を基づいて書かれているため、学生が「史料へまなざし」をつねに意識できるような指導をおこなっています。

3つの羊皮紙を触り、ヤギ、コウシ、ヒツジのどれかを当てる

今回はそうした試みの一環として、「羊皮紙工房」として活動されている八木健治先生を講師としてお迎えして、羊皮紙に関するワークショップを行いました。八木先生は近年、羊皮紙に関する興味深い著作(※)を立て続けに刊行されており、各種の講演・ワークショップ、映画やドラマ、ゲーム制作への参加などでご多忙ななか、ご協力いただきました。ここに厚く御礼を申し上げます。

※『羊皮紙のすべて』(青土社、2021年)、『羊皮紙の世界:薄皮が秘める分厚い歴史と物語』(岩波書店、2022年)。また、史学科の名誉教授の豊田浩志先生(西洋古代史)編『モノとヒトの新史料学:古代地中海世界と前近代メディア』(勉誠出版、2016年)にもご寄稿をいただいております。

八木先生のご説明は具体的かつ凝っており、とても分かりやすかったです

ワークショップでは、まず八木先生に「羊皮紙」の製法や利用法などの基本的な点や、西洋文化における位置付けなどについてご講義いただき、その後、羊皮紙や没食子インクの製作の一部工程や羽ペンによる筆写体験などをおこないました。

「現物」に触れ、中世の写本のサイズ感や筆写・描写の細密さを実感する

没食子インクを調合した上で、羽ペンによる筆写を体験する

また、古代から近現代にいたる羊皮紙やパピルスのコレクションを陳列させていただき、学生たちに自由に「手に取って」見せていただきました。ルイ16世の直筆書名をもつ証書を見て、感激していた学生もいました。

個人所蔵とは思えないバラエティに富んだコレクションを見せていただきました

こうした具体的な体験は、彼らが卒論のために各種の文献を読み進める上で、大いに役に立つことでしょう。

八木先生との記念撮影