2009 年度学部卒業生
堅田智子(上智大学大学院博士後期課程在学中)
現在、私は博士後期課程3 年に在籍し、日独外交史、特に明治日本の「ドイツ化」について研究を進めています。学部プレゼミ(学部2 年)時代から数えて、8 年間、井上ゼミに所属しています。上智の大学院は、通常、博士前期課程(一般には修士課程)2 年、博士後期課程(一般には博士課程)3 年のカリキュラムですので、私の大学院生活は今年で5年目になります。
博士前期課程の院生を対象とした井上院ゼミは、春学期、秋学期にそれぞれ開講される「近・現代演習Ⅰ」、「近・現代演習Ⅱ」、半期のみ開講される「近・現代特研」の3 つの授業(全てゼミ形式)で構成されます。いずれの授業も、他ゼミに所属する院生、他専攻に所属する院生、他大学大学院に所属する院生にも開講されており、受講が可能です。
「近・現代演習」では、ドイツ近現代史を専門として、主にドイツ語文献を輪読しながら、与えられたテーマに沿って問題点を整理・討論しています。また、例年、ドイツ史に限らず、地域、時代範囲も受講生の研究分野や要望に応じ、ゼミで用いる文献の選定を行なうため、ドイツ語文献だけでなく、英語文献を用いることもあります。また、少人数のゼミであるため、細かな翻訳上の誤りや留意すべき点の指導もあり、語学力も向上します。
井上院ゼミ生はもちろん、他ゼミ等からの参加者も含め、研究分野は多岐にわたるため、もちろん広範な知識が求められますが、「新たな気づき」や「刺激」によって、自らの研究に反映させることができます。一方、「近・現代特研」では、ドイツ近現代史に限らず、ナショナリズムなど国、時代の枠組みを越えた大きな問題設定のもと、主に邦語文献の輪読と討論を行ないます。
また、博士前期課程に在籍する院生の最終目標は、修士論文の執筆です。史学専攻では、博士前期課程の必修科目として「修士論文演習」という先生方、院生全員が参加する授業があります。ここで院生は、修士論文執筆に向けて、主に修士論文の構想や研究の進捗度合を発表します。井上院ゼミでは、この「修士論文演習」と連動し、修士論文に関連する研究報告を行ないます。複数回、報告を行なうことにより、プレゼン能力の向上とともに、研究そのものの完成度の向上へと結びつけることができます。修了年次の秋には、上智大学史学会大会において、修士論文の研究報告を行なうことが修士論文提出の要件になっていますので、院ゼミや「修士論文演習」など、日ごろの授業を通じて、短期目標のもとに準備を進められます。
夏期休暇中、例年9 月下旬には、井上ゼミ所属の学部生が参加するゼミ合宿があります。
3 年生、4 年生だけでなく、オブザーバーとして院生も参加します。ゼミ合宿中、3 年生は先生から与えられた課題に関する発表、4 年生は卒論構想発表を行ないますが、卒論を提出した経験をもつ院生からのアドバイスは、非常に頼もしいと卒業生から好評です。大学院進学を目指す学部生にとっては、大学院がどのような場所なのか、どのように研究を進めていくのかなど、なかなか想像のつきにくい大学院での生活を直接、院生から聞くことができ、進路選択の助けとなるようです。また、院生にとっては、学部生の忌憚のない、新鮮な意見に耳を傾けられる絶好の機会です。
こうした授業、ゼミ合宿とは別に、井上先生と一対一での個人指導の時間もあります。研究の進捗状況や今後の研究方針等について、それぞれの院生に合わせてきめ細やかな指導を受けることができます。
博士後期課程に入ると、授業への参加よりも個人指導が中心となります。博士号取得のためには、博士論文執筆の前提条件である学術雑誌への投稿、外部研究会での発表が必須です。個人指導では、研究の進捗具合、今後の研究の方向性の相談、学術雑誌に投稿する論文草稿のチェック、口頭研究発表への助言をうけ、博士論文執筆という大きな目標に向け、準備を進めていきます。
博士後期2 年目に、私はドイツのハイデルベルク大学に交換留学しました。1 年間の留学期間中、大学文書館や一般公開されていないプライベートな文書館などで史料収集を行ないました。手書きの手紙やメモなど未公刊史料を読解・分析していく作業は、歴史学を研究する上で欠かせません。
本年(2014 年)3 月には、上智大学史学会の刊行する『上智史学』に掲載した論文「アレクサンダー・フォン・シーボルトと黄禍論」で、第6 回石橋湛山新人賞を受賞しました。
歴史学の論文でしたが、他分野の研究者の方々から様々な助言をいただき、研究の励みとなりました。現在も日々、研究に打ち込み、学術雑誌への論文投稿、外部研究会での発表を重ね、博士論文提出に向けて準備を進めています。
石橋湛山新人賞受賞

史料収集先ドイツ・ブランデンシュタイン城